バスの中のこと
わたしはバスの中で彼と出会った。
彼はまだ人妻ではなく受験生だった。出会いはバスの中だけ。
いつもいつも彼の後姿を見ていた。
そして毎日振り向いてくれないかなってそればかり考えていた。
でもある日、彼がついに振り向いた。
わたしが見過ぎだったのかもしれない。
なのにわたし目をそらしちゃった。
下向いて動けなくなっちゃったんだ。
それでそのままバスを降りた。
そして肩に手をかけてられて
「俺、見てませんでした?」って彼に声をかけられた。
「見てません。見てません。」
「ほんとうに?」
わたしは後ろを振り向くことができなかった。
「思い違いかあ。小学生の時のクラスメイトだと思ったんですけど?」
そう言われて振り向くとそうだった。
クラスメイトだ・・・・彼だ!
「気が付かなかった。」
「俺はけっこう前から気が付いていたよ。それに君が登録してるプロフサイトも見てるし。」
「わたしは年下だと思ってたよ。受験のガイドブックいつも持ち歩いているでしょ?」
「違う違う、これはなんとなく持ってる感じ。なんか受験の時の頑張りが抜けきらなくて。」
「そうなんだ・・。」
いつも見ていた彼は小学生の同級生だったなんて笑っちゃう。
「携帯交換しようよ。今度遊ぼう。」
そう言われた。
なんだか積極的だった。でも嬉しかった。